誰のものでもないアート（３） メールアートギャラリー＜エターナル・ネットワーク＞

４．詠み人知らずのアート

　日本におけるメールアートの先駆的存在である嶋本昭三さんによれば、嶋本さん自身が発信したプロジェクトに他のアーティストから「面白いプロジェクトがあるから参加してみたら」との誘いを受けた事があるとの事。さすがに私には、そこまでの経験はない。しかし、以前から続けているメールアート・ネットワークを利用したコラボレーションには、本当に数多くの海外のアーティストに参加してもらっている。
コラボレーションによる作品制作の魅力は、こちらの予想を遙かに超えた意外性にある。受け取って、思わず唸る事もある。本気で驚かされる事もたびたびである。そうした出会いが楽しくてコラボレーション作業がやめられない。メールでエターナル・ネットワーク作品が送られてくると、今でも思わず参加してしまう。


コラボレーション作品による小冊子

　和歌の世界には「詠み人知らず」という作品がある。とっても良い和歌なのだけれど、誰のものかは今はわからくなってしまったというもの。作品を制作する者として非常に矛盾する言い方だけど、「詠み人知らず」状態は理想なのだと思う。エターナル・ネットワークの提唱者であるレイ・ジョンソンは何年も前に他界した。しかし、彼が生前に発信したエターナル・ネットワーク作品は今もメールアート・ネットワークの中で生き続けている。もうレイ・ジョンソンが描いたドローイングは痕跡すらなくなり始めているのだが、そしてレイ・ジョンソンが自ら書き加えた住所には主はいないのに、今も世界を駆け巡っているのだ。


イタリアのAnna Boschiからのハガキ　肖像はレイ・ジョンソン


ユーゴスラビア（セルビア）のDobrica Kamperelicからの封筒

タグ：メールアート エターナル・ネットワーク 嶋本昭三 コラボレーション レイ・ジョンソン 詠み人知らず Mail Art Eternal Network Ray Johnson

コメント 8

世界のお墓について考えました
墓標のない無縁墓地とか　
誰も知らない死者が生存していた時の
世界に想いを馳せると
不思議な気がします
民芸も無銘の世界を尊びました
年賀状が届いて差出人が既に亡くなられていた等
メールにも不思議な出来事が
おこりますね
いつも意味不明のコメント
すみません
by SILENT (2009-07-09 07:45) 

ＳＩＬＥＮＴ様：コメントありがとうございました。何かを残すということは生の痕跡を残すことなのかもしれません。自分がたとえいなくなっても痕跡は残り、それを見る方や影響を受ける方がいて・・・。これからも宜しくお願いします。
by ナカムラ (2009-07-09 12:55) 

ネットワークを利用したコラボは、それぞれの作家の個性が活かされるので、意外性があり、素晴らしいものが出来るのでしょうね。
by 駅員3 (2009-07-09 16:06) 

駅員３様：コメントありがとうございます。素晴らしいものができるようなコラボにできればと思いますが、各自が各自の思いの中で行なうので、ときにカオスの塊みたいになってしまうことも。でも、それはそれでと。素晴らしいと感じるのは、意外な効果が加えられるようなケースです。
by ナカムラ (2009-07-09 18:38) 

いつも御訪問くださりありがとうございます☆
by やまがたん (2009-07-10 07:26) 

いつも、ありがとうございます＾＾
by abika (2009-07-10 11:17) 

「詠み人知らずのアート」アートの世界にも
ありうることですね。

　
by やおかずみ (2009-07-10 11:27) 

やまがたん様：コメントありがとうございます。月山には私も登ってみたいです。
abika様：こちらこそ、ありがとうございます。号外内容、悲しかったです。
やおかずみ様：コメントありがとうございます。関西空港、だだっ広いという印象があります。たしかフロート式でしたよね。今後とも宜しくお願いします。
by ナカムラ (2009-07-10 12:30)