未来派百周年と三角の家（４）

４．籌子との結婚

「彼女は非常にシッカリした自分を持った娘であった。それは時として強過ぎると思われるほどのものであった。だが流石の彼女も、当時の私の、いわば絢爛たる働き振りに、幻惑されてしまった。そしてしばしば私の所へ通って来るようになった。」

前後で引用したのは『演劇的自叙伝２』の４３章で、「二十三才、二十四才　籌子との結婚」と題されている章である。

「ミセス羽仁は「岡内さんは芸術的な人だから知義さんと結ばれるのは当然だろう」といって、初めから賛成して下さったばかりか、自由学園高等科の卒業生の最初の結婚だというので、仲人になって下さり、またアメリカの建築家で今ではもうこわされてしまったライト氏の設計した自由学園の立派な講堂で挙式することにして下さった。」


自由学園・明日館


明日館の教室内部


明日館の講堂

「むろん、アルコール類は一切出ない式だったにも拘らず、マヴォの連中は酔っ払ったように興奮し、雑司ヶ谷から東中野まで、私を真ン中に肩を組んで、大声で、この意味の全くわからない南洋の唄を大声で叫び続けながら歩いた。私は花嫁を置いてきぼりにして、家に帰ってしまったのである。」

　現在の自由学園・明日館に籌子を置いたままにして、勝手に帰ってしまったというのだから、ひどいものである。明日館から三角の家のある上落合１８６番地までは歩いて２５～３０分くらいだろうか。雑司ヶ谷とはいいながら、明日館は上屋敷だから、まっすぐに上落合に向かった場合には、雑誌『赤い鳥』の発行所のあたりを通って、下落合の坂をおりて東中野方面に向かう道を歩いたのだろう。もちろん、ここに書かれている「家」は『アサヒグラフ』に紹介された「三角の家」である。


目白庭園にある赤鳥庵。すぐ近くにあった『赤い鳥』編集部にちなんでいる。

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コメント 10

夜の写真がまた綺麗な建物ですね
訪問ありがとうございます＾＾
(　ﾟ∀ﾟ)o彡°応援ﾎﾟﾁｯと☆ﾗﾝｷﾝｸﾞｩ☆
by やまがたん (2009-08-14 11:05) 

『赤い鳥』懐かしいです。子供の頃、何冊かあったのを、何度も見たり読んだりしました。恐らく武井武雄の装丁で、小峰書房からでた復刻版のようなものだったと思います。
by アヨアン・イゴカー (2009-08-14 12:44) 

やまがたん様：そうなんです。フランク・ロイド・ライトの設計で国の重要文化財に指定されています。夜の情景も格別で・・・夜桜もきれいなので花見のシーズンには必ず一度は訪れます。訪問、コメントいつもありがとうございます。
by ナカムラ (2009-08-14 12:45) 

アヨアン・イゴカー様：コメントありがとうございます。『赤い鳥』はその時代で読んでいなくとも、なんだか懐かしい気分にさせる雑誌だと思います。目白から池袋に向かう道に発行所はありました。鈴木三重吉の自宅です。今は千草画廊になっています。その向いあたりにあるのが目白庭園で、その中に赤鳥庵はあります。明日館から５分くらいでしょうか。
by ナカムラ (2009-08-14 12:50) 

いつも訪問くださりありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。

by 空楽 (2009-08-14 16:36) 

おはようございます。
いたずらコメントに気をつけてください。
同じ者が、私の所にもありました。
by とらさん (2009-08-15 10:29) 

こんにちは。自由学園・明日館は現在も
講演などで使われているのですね。
by なぎ猫 (2009-08-15 20:20) 

空楽様：コメントありがとうございます。いつも猫ちゃんたちに癒されています。ありがとうございます。
by ナカムラ (2009-08-15 23:55) 

とらさん様：ご注意ありがとうございます。さっそく削除しました。ちくいち入力しているんでしょうか。今後ともよろしくお願いします。
by ナカムラ (2009-08-15 23:57) 

なぎ猫様：コメントありがとうございます。現役でさまざまに使われています。講堂ではコンサートなんかもときどき。明日館本体では講義もあるみたいです。
by ナカムラ (2009-08-16 00:17)