幻の花 [小説]
寝付けないほど暑い日が3日ほど続いた深夜、突然に耳元で滝の流れる水音が響いた。
空耳を聴いたと思ったのだけれど、目が覚めても水音は消えない。
しかし目をあけることはできない。
たしかに布団の上に寝てはいるが、まわりが水に満たされているのが感覚できる。
顔に水飛沫がかかる。
するどい声で鳴いたのはヤマセミだろうか。魚を追って水に飛び込む音が響いた。
その音の方へ手を伸ばす。何かをつかむと水音が消えた。しずかに瞼をあける。
障子ごしにそそぐ月光。
布団の上に私は寝ていた。あたりを見回しても寝た時と変りはなかった。
ほっと息を吐くと右手には真紅の花が握られていた。
水がしたたる真紅の花がみっつ。私はしっかりと握っていた。
空耳を聴いたと思ったのだけれど、目が覚めても水音は消えない。
しかし目をあけることはできない。
たしかに布団の上に寝てはいるが、まわりが水に満たされているのが感覚できる。
顔に水飛沫がかかる。
するどい声で鳴いたのはヤマセミだろうか。魚を追って水に飛び込む音が響いた。
その音の方へ手を伸ばす。何かをつかむと水音が消えた。しずかに瞼をあける。
障子ごしにそそぐ月光。
布団の上に私は寝ていた。あたりを見回しても寝た時と変りはなかった。
ほっと息を吐くと右手には真紅の花が握られていた。
水がしたたる真紅の花がみっつ。私はしっかりと握っていた。
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