赤い糸 [小説]

 ピンク色のセーターのはじから赤い糸が飛びだしていた。僕はそれをたどることにした。
赤い糸は砂丘の上をくねっていた。緑の森を抜け、その先の大きな湖をおおった霧の向う
へとつながっていた。

 どこまでいってもはじがみつからない。ついに大きな海の中へとつながっていたのをみつ
けた。どうやら赤い糸は世界のどこにでもつながっているようだった。

 しかし、赤い糸は僕にだけはつながっていなかった。赤い糸が世界とすると僕は世界から
疎外されている。海を抜けた赤い糸は空に昇り、中空の月にむかっていた。ピンクのセータ
ーの赤い糸をひいたら月がすこしだけこちらに来た。
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