「未来」に向けてのメールアート(3) [メールアート]

私は大阪にいたので、直に感じることはできなかったが、藤沢のアトリエ・キリギリスには着実に「未来」に関してのメールアートが届き始めた。そこには様々な未来への思いやイメージが込められていた。そしてすべてが郵便というシステムによってメールボックスに直接に届くのであった。もちろん封筒に入ったものばかりではない。下の写真のように紙飛行機のままに届いたメールアートもあった。また右の封筒は中に何も入ってはいない。封筒自体が作品なのであって、中身はないのだ。

飛行機型.jpg中身のない封筒.jpg

こうした作品が連日届き、松田さんはブログを特別に立ち上げて、順に紹介していった。実はメールアートを実際にやってみると、その整理や保管などに苦労することになる。それは実作をしなくとも、展覧会を企画した場合も同様で、メールアートを送ってくれた方の住所や名前、さまざまな形状や素材の作品自体、そもそも封入されているモノのうち、どれが作品かの判断、それを整理しての保管など事務的な整理能力が求められることになる。大変なご苦労をかけてしまった。世界から送られた「未来」は130点を超えた。

 展覧会は6月16日にスタート、7月1日までの日程で開催された。初日はメールアートに関するトーク。今回のお題である「THE FUTURE」以外のメールアートに関する資料として私がもっているファイルの1/5くらいを持ち込んで閲覧できるようにもした。その資料を見ていただきながらメールアートの歴史、方法論などを解説した。前日まで大阪にいて実際の展示は当日初めて見るという状況であったので、「未来」メールアートについては私自身が発見の連続であった。解説しながら会場の作品を見て歩けば、もちろんご存知の大御所の作品もあれば、未知の作家の作品にも出会う。未来の解釈も様々であるし、使っている技法も色彩もさまざまで楽しい。あっという間に時間が経っていった。なかには連作で日をおって送付し、したがい毎日次の作品が届くようにした作品があった。どうした訳かその届く順番が狂ったりもしたようだ。箱のような作品もあり、作品が描いてあり、そこに直接にテープが貼ってある。メールアートになれていれば、そのテープにカッターの刃を容易にいれることができるが、慣れていないので、かなり抵抗があったとの話を松田さんより聞いた。そうだろう、作品の真ん中を切ることになるのだから。そうした違和感を含めてメールアートなのである。中からは別のイメージが出現する。

Mike Dyar.jpg
アメリカのMike Dyarからのメールアート
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「未来」に向けてのメールアート(2) [メールアート]

以下は実際に世界各地に送ったメッセージ、プロジェクト・インビテーションである。

<Mail Art Project> “The Future” at Atelier Kirigiris

We were attacked by a Inexperience earthquake disaster, tsunami and radioactive contamination in 2011. And it is still alive under the influence. However, we and our children have "The Future". Please show your “The Future” for us. 

So, We decide theme of new mail art is “The Future”. 

Although size and technique are free, please send them by snail mail with your name, address, e-mail address, small photo and simplified personal history(CV).
Exhibition will be held at Atelier Kirigiris in June 2012. 

An on-line catalog in blog form or album exhibition by facebook is carried out.
A work you sent to us is not returned. 
Moreover, if you can cooperate, can you donate sheets of stamp for sale?
I hope to be made to a part of exhibition expense in a gallery. 
If the price in the case of selling was decided, please let me know. 
Please think that a theme is a curator’s recommend theme. So, you can send works by free theme. For example, “Mail Art is pleasant for me” etc. Enjoy freely. 

THEME:THE FUTURE
SIZE and TECHNIQUE:FREE
DEADLINE:15th May 2012

SEND TO: Atelier Kirigiris
Co-planner: Keiichi Nakamura

世界各地のメールアーティストはこれに敏感に反応した。さっそく順調に作品が届き始めたのだ。ところがである、私が仕事の都合で4月から1年間の間、大阪に住むことになってしまった。共同で進めるといいながら、松田さんに多くの負担がいってしまうことになった。申し訳なかったと思っている。メールアート展はふつう作品の販売は行わない。無償で作品を提供するかわり、それを販売しないことが暗黙のルールになっているのだ。しかし、ギャラリーでの企画展で行う展覧会なので特別に断りをいれてオリジナルの切手シートを寄付いただき、その分に限り販売させてほしい旨のお願いをした。これにも何人かのメールアーティストが反応、レベルの高いオリジナルのアーティスト・スタンプシートを送ってくれた。ありがたい話であった。

オルブリッヒ.jpg
ドイツのユルゲン・オルブリッヒの切手シート作品

上の切手シートはドイツのユルゲン・オルブリッヒの作品であるが、彼は2012年2月4日から5月6日まで東京都現代美術館で開催された「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」展の際に靉嘔に呼ばれて来日、都現美でパフォーマンスを行ったが、この際に切手シートを持参していただいたのだった。ユルゲンは2006年に福井県立美術館で行われた靉嘔展の際にもフルクサスのエメット・ウィリアムスの代役として来日し、フルクサス・コンサートの一員としてパフォーマンスを行っていた。エメットは強く来日を希望し、福井で靉嘔と会うのを楽しみにしていたが、体調を崩して果たせず、その後亡くなってしまった。ユルゲンには申し訳ないが、エメットには来日してほしかった。
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