誰のものでもないアート(1) メールアートギャラリー<エターナル・ネットワーク> [メールアート]
1.アンダーコンストラクションなネットワーク
郵便やインターネットを媒介にしてアーティストがアイディアを交換したり、コレボレートして作品を作り上げてゆくメール・アートにおいて、その特徴が最も出ているのが今回紹介するエターナル・ネットワークであると思う。エターナル・ネットワークという言葉はフルクサスのメンバーであったレイ・ジョンソンがメールアートの活動の中で使った呼び名であった。
レイ・ジョンソンが提唱したエターナル・ネットワークは1枚の紙、1個のオブジェの上に、参加したアーティストが自分のアイディアを積み重ねてゆくもので、通常では郵便システムを使ってアーティストの間を受け渡されてゆく。例えばレイ・ジョンソンが自分の似顔絵のコピーを世界のアーティストに向けて送付する事でそれは始まる。この紙面には「好きな絵を描いたり、何か好きなものを貼り付けてください。そしてコピーをとり1枚は私に送ってください。残りはお好きに送ってください」とメッセージされている。また、中には「私にもコピーを1枚送って」として自分の名前、住所を記載する欄があるものもある。この紙を受け取ったアーティストはレイの似顔絵の上や余白に自分の好きな絵を描いたり、そのあたりの新聞や雑誌の切抜きを貼ったり、ラバースタンプでスタンプアートを加えたりする。そして自分の名前や住所を加えて他のアーティストに送る。しかし1通だけではなく、現物を複数コピーして送る場合が多く、たとえ1枚でスタートしたエターナル・ネットワークでもいつのまにか多数の複製がネットワークの中に流通し、枝分かれし、増幅し、回覧され、姿をさまざまに変えてゆく。すでにそこにはレイ・ジョンソンの個性はなく、共同作業によって形成されたイメージの重層な痕跡があるのみとなる。一人のアーティストの個性やオリジナリティーといったものを超えた世界がいつのまにか出現している。
レイ・ジョンソン発でスタートしたエターネル・ネットワーク
エターナル・ネットワークの例
エターナル・ネットワークは作品としての終わりのない、言いかえれば完成のないアートである。いつも制作途上の姿をネットワークに参加した者のみが見る事になる。常に「アンダー コンストラクション」という訳。しかし現実には、どこかの時点で誰かが意図的に回収し、回収した作品を展覧会で見せる事もあり、作る側ばかりでなく見る側の観客にも見るチャンスを与える事になるのであるが、その本質は終わりなくメールアート・ネットワークの中を流れ続けるアートなのだ。
エターナル・ネットワーク
大阪の幸円良介さんの「ブレインセル」。世界各地からのイメージを1枚の作品に圧縮している。
郵便やインターネットを媒介にしてアーティストがアイディアを交換したり、コレボレートして作品を作り上げてゆくメール・アートにおいて、その特徴が最も出ているのが今回紹介するエターナル・ネットワークであると思う。エターナル・ネットワークという言葉はフルクサスのメンバーであったレイ・ジョンソンがメールアートの活動の中で使った呼び名であった。
レイ・ジョンソンが提唱したエターナル・ネットワークは1枚の紙、1個のオブジェの上に、参加したアーティストが自分のアイディアを積み重ねてゆくもので、通常では郵便システムを使ってアーティストの間を受け渡されてゆく。例えばレイ・ジョンソンが自分の似顔絵のコピーを世界のアーティストに向けて送付する事でそれは始まる。この紙面には「好きな絵を描いたり、何か好きなものを貼り付けてください。そしてコピーをとり1枚は私に送ってください。残りはお好きに送ってください」とメッセージされている。また、中には「私にもコピーを1枚送って」として自分の名前、住所を記載する欄があるものもある。この紙を受け取ったアーティストはレイの似顔絵の上や余白に自分の好きな絵を描いたり、そのあたりの新聞や雑誌の切抜きを貼ったり、ラバースタンプでスタンプアートを加えたりする。そして自分の名前や住所を加えて他のアーティストに送る。しかし1通だけではなく、現物を複数コピーして送る場合が多く、たとえ1枚でスタートしたエターナル・ネットワークでもいつのまにか多数の複製がネットワークの中に流通し、枝分かれし、増幅し、回覧され、姿をさまざまに変えてゆく。すでにそこにはレイ・ジョンソンの個性はなく、共同作業によって形成されたイメージの重層な痕跡があるのみとなる。一人のアーティストの個性やオリジナリティーといったものを超えた世界がいつのまにか出現している。
レイ・ジョンソン発でスタートしたエターネル・ネットワーク
エターナル・ネットワークの例
エターナル・ネットワークは作品としての終わりのない、言いかえれば完成のないアートである。いつも制作途上の姿をネットワークに参加した者のみが見る事になる。常に「アンダー コンストラクション」という訳。しかし現実には、どこかの時点で誰かが意図的に回収し、回収した作品を展覧会で見せる事もあり、作る側ばかりでなく見る側の観客にも見るチャンスを与える事になるのであるが、その本質は終わりなくメールアート・ネットワークの中を流れ続けるアートなのだ。
エターナル・ネットワーク
大阪の幸円良介さんの「ブレインセル」。世界各地からのイメージを1枚の作品に圧縮している。
スゴイ斬新な企画ですね!現代のネット社会だから出来る
芸術です!凄くいい刺激をもらいました。
お祝いコメントありがとうございました!
Shin.
by shin (2009-07-06 13:26)
shin様:コメントありがとうございます。私の方こそいつも刺激をいただいています。これからもどうぞ宜しくお願いします。
by ナカムラ (2009-07-06 13:51)
ご訪問ありがとうございます。
にゃんこさん、素敵なご縁でよかったですね^^
by 空楽 (2009-07-06 16:05)
空楽さま:そうなんです、不思議なご縁で・・。義妹がメールをうってる最中にも携帯ストラップに肉球パンチの連打をしていたそうで。やんちゃな娘のようです。訪問・コメントありがとうございます。
by ナカムラ (2009-07-06 16:55)
凄いです、センスがまた素晴らしいですね^^
いつも御訪問ありがとうございます☆
by やまがたん (2009-07-07 07:24)
ネットで、共同作業で、アート作品を制作する。斬新で
楽しいでしょうね。
by やおかずみ (2009-07-07 10:23)
エターナル・ネットワーク
面白いですね
歌枕や連歌の世界を連想しました
ある意味
シリトリなのかとも
コラボレーションって言葉も風化しましたが
by SILENT (2009-07-07 11:14)
やまがたん様:コメントありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。
by ナカムラ (2009-07-07 15:45)
やおかずみ様:楽しいのですが、時に収拾がつかなくなるときも。コメントありがとうございました。
by ナカムラ (2009-07-07 15:46)
SILENT様:コメントありがとうございます。連歌は近いかもしれません。実は、アイルランドとクロアチアの詩人から連歌をといわれて英語の連歌を作ったことがありました。とても近いと思います。これからも宜しくお願いします。
by ナカムラ (2009-07-07 15:49)