メールアートって?(2) [メールアート]

2.メールアートとの出会い

 1980年代の前半、雑誌「ブルータス」の美術コラムにイタリアのカベリーニが紹介された。カベリーニがメールアートを行なっていて・・・という紹介で、興味を持ったが、どうすればいいのかわからず、カベリーニの住所もわからず、それきりになってしまった。
 次にメールアートについての記述に出会ったのは、嶋本昭三が1994年に出版した本『芸術とは、人を驚かせることである』(毎日新聞社)においてだった。この本の内容は大半をメールアートに割いていた。カベリーニについても書いてあるし、なによりメールアートにかかわるエピソードが面白かった。

嶋本昭三の本.jpg

 メールアートに俄然興味をもった私は、著者である嶋本昭三に手紙を書いた。手紙には乱暴なドローイングを添えた。これが私が初めて送ったメールアートである。
 5日くらいして、嶋本さんから返事がきた。彼から送られてきたのは、ダンボールを「あ」の形に切り抜いたハガキであり、表には住所と私の名前、裏には直筆で「メールアート・ネットワーキングに是非参加ください」と書いてあった。次に私はカラスのドローイングをパウチして切り抜き、ハガキにして返事を書いた。こうして嶋本さんとのメールのやりとりを3往復くらい行い、ネットワークを広げた。嶋本さんは私にリサイクルの封筒で送ってきていた。つまり海外のメールアーティストの住所と名前が記載されたままなのだった。そうか、これを使ってネットワークを作ってみたら、というメッセージなんだなと解釈して送り始めた。また、嶋本さんは「AU」という印刷物を送ってくれたが、そこには出版記念会にメッセージを寄せたメールアーティストの一覧を掲載していた。これも使った。

Miguel Jimenez (スペイン).jpg
スペインのMiguel Jimenezからの封筒

 その頃、ノートにコラージュ作品を作っていたので、これをカラーコピーして送った。30人くらいのメールアーティストに送っただろうか。当時は海外に郵便を送ったことがなく、どうしていいかわからず、手紙も添えていない。

Boog.jpg
アメリカのBOOGからのメールアート

 私が想像したよりも早く返事が届いた。初めて海外からもらったメールアートはスウェーデンからだった。相手は彫刻家。そして翌日も、その翌日もメールアートは届いた。切手や封筒の美しさにも魅かれた。こうして私のメールアートは始まった。

ハーゲンブロック.jpg
アメリカのJulie Hagen Blockの消しゴム版画によるメールアート

※メールアートについての文章は書肆啓祐堂発行の雑誌「黄金の馬車」2号から連載した。

黄金の馬車2号.jpg
「黄金の馬車」2号 2001年3月25日発行。造本は空中線書局の間奈美子さん。
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