シャッフルされた感性(1) メールアートギャラリー<アセンブリング・ブック> [メールアート]

1.アセンブリング・ブックとは

 一つの箱の中に多数のアーティストの作品が収められているポートフォリオであったり、オリジナル作品が製本された本であったりする作品集がある。これを、アセンブリング・ブックあるいはアセンブリング・マガジンと呼んでいる。純粋なメールアートとは異なるが、多くのメールアーティストやメールアート・ネートワークに参加している詩人や文学者がアセンブリング・ブックへの参加者になったり、場合によっては発行者となっている事があるので、今回はこれを取り上げることにした。

 アセンブリング・ブックのルールは、それぞれによって異なるが、複数性のあるオリジナル作品(版画とかマルチプル)を発行部数だけ限定制作し、エディターに送ることにより参加することになる。エディターはエディション及びサインのはいった作品を構成し、製本して完成させる。本によっては極めて小部数のみの発行となっているものもあり、しかも参加者に一部ずつ送付するので、参加者以外が購入する事は非常に困難な状況にある。

 アメリカで発行されている「the I.S.C.A. QUARTERLY」は、ニューヨークの書店Printed Matterで入手が可能であったが、限られた部数になっている(現在は発行をやめてしまったので、おそらくは難しいだろう)。なぜなら、美術館や図書館といった公的な施設に収められるからだ。

ISCA Quatery.jpg
ISCA Quaterly目次.jpg
「I.S.C.A.QUARTERLY」の表紙と目次

2.さまざまなアセンブリング・ブック

 ドイツのアーティスト ゲアヒルト・エーベルが年1回発行している「miniature obscure」は、その年によってテーマが変わる。エーベルは、その年のテーマを決め、依頼する相手も選択する。作品を収めるボックスも毎年変わるので、依頼時にはサイズとスタイルを決めている。その形にあわせた作品が参加者には要求される事になる。この本は実験文学のアセンブリング・ブックとして高い評価を得ており、ほとんど入手困難であるばかりでなく、参加することも極めて難しい。同じくドイツの詩人テオ・ブロイアーが年1回発行している「YE」もレベルが高い。YEも年ごとにテーマを設定しており、2002年は「moneYEros」であった。2003年は「words/forms/colors」である。YEは、A4サイズの箱に40人程度のアーティストの作品が2作品ずつ収められた美しい作品集である。「el mail Tao」はおそらく最も短いサイクルで発行されているアセンブンリング・マガジンである。月に1冊のペースで刊行され続けている。この雑誌は製本されている。25部限定、A4サイズの本の形式をとっているが、中身は全てオリジナルアート作品である。

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「el mail Tao」の表紙

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コメント 2

空楽

いつも訪問くださりありがとうございます
今後ともよろしくお願いいたします
                空楽(父)
by 空楽 (2009-07-20 17:38) 

ナカムラ

空楽様:こちらこそ、いつも訪問をいただきありがとうございます。いつも楽しく拝見しています。
by ナカムラ (2009-07-21 16:56) 

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